私たちが金属表面処理用FRP槽(ナファリスタンク)を、1965年に独自に開発して以来、ナファリスタンクはその耐蝕性、機械強度、断熱効果、電気絶縁性、そして自由なデザインでの製作という特長が高く評価され、金属表面処理用途はもちろん、化学プラントの各種反応槽、貯槽や電解槽などに使用されてきました。
さらに、1980年代に入り、フッ素樹脂と耐蝕FRPの異なる2つの材料を当社の独自な方法で複合する技術を開発しました。
それによりナファリスタンクの特長を活かしつつ、耐薬品・非溶出性・非粘着・不活性という特長を兼ね備えた、全く新しい可能性を持つ高耐蝕複合タンクを商品化し、より幅広い業界でその用途を広げてきました。
現在、タンク補強には全く金属を使用しない製法も採用し、総称を「化興ケミカルタンク」と変え、複合シリーズとFRPシリーズの2シリーズを製造しております。
独自に開発された設計思想と豊富な経験に基づき、研鑽された加工技術により製作される化興ケミカルタンクは、必ず貴社の安全と製品品質の向上に寄与できるものと確信しております。
化興ケミカルタンク複合シリーズは内面を高耐蝕素材シート、構造体は耐蝕FRPにて構成しており、それぞれの特性を最大限活かすよう、複合加工しております。
化興ケミカルタンク複合シリーズは化学プラント工業で起こりうる外部腐食のトラブルに対して、安全に使用することができます。
業界に先がけてフッ素樹脂とFRPを複合する技術を独自に開発して以来30余年が経過しました。
当社の薬液槽に起因した漏洩トラブルは皆無です。
接着材を用いない工法のため、接着材の塗布ムラや接着剤の高温による劣化等によって剥離が生じません。
化興ケミカルタンク 複合シリーズ4タイプ(PP、PVDF、PFA、N-PTFE)があり、それぞれピンホールの無い、均一な厚みのシートを厳選しており、御使用条件により最適なものを選択することができます。
また、低温脆化、高温軟化が非常に少ないので、低温から高温まで幅広く安定して使用できます。
化学プラント工場のタンクでは電解、反応、薬品混合等に伴い発生する腐食ガス、ミスト、液の飛散により、基材又は補強材の金属が腐食され、その事が原因となりトラブルを起こす事が多々有ります。
化興ケミカルタンク複合シリーズの構造体は耐蝕FRPで作られ、全く金属を使用しない構造も可能です。
化興ケミカルタンク複合シリーズは一品毎に最適な設計製作が可能です。また、成型機、炉などの制約が無いため、陸送が可能なサイズまでは一体で製作でき、さらに大きな物は分割して現地組立施工も可能です。
有機物、無機物の溶出が極めて少ない(半導体グレードレベル)接液面です。
化興ケミカルタンク 複合シリーズの厳選された4タイプの高耐蝕素材シートの表面は、非粘着、平滑、撥水の特性を有しています。フッ素樹脂特性によりスケールやスラッジ、粘着物の付着がしにくく洗浄も容易になります。
PP複合 タイプ(PP+FRP) |
接液材質 | ポリプロピレン樹脂 |
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補強材質 | ビニルエステル樹脂FRP |
耐熱性・耐寒性(連続) | タンク-20~+90℃ (素材-20~+120℃) |
耐燃焼性 | 可燃性 |
有機物の溶出 | 極めて少ない |
金属イオン溶出 | 極めて少ない |
耐酸、耐アルカリ、耐溶剤、耐フッ酸、耐クロム酸 | 御使用条件により選定いたしますので、お問い合わせください。 |
PVDF複合 タイプ(PVDF+FRP) |
接液材質 | ポリビニリデンフルオライド樹脂
(フッ素樹脂) |
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補強材質 | ビニルエステル樹脂FRP |
耐熱性・耐寒性(連続) | タンク-20~+100℃ (素材-40~+150℃) |
耐燃焼性 | 自己消火性 |
有機物の溶出 | 全くない |
金属イオン溶出 | 極めて少ない |
耐酸、耐アルカリ、耐溶剤、耐フッ酸、耐クロム酸 | 御使用条件により選定いたしますので、お問い合わせください。 |
PFA複合 タイプ(PFA+FRP) |
接液材質 | テトラフルオロエチレン
パーフルオロアルコキシ エーテル共重合体 (フッ素樹脂) |
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補強材質 | ビニルエステル樹脂FRP |
耐熱性・耐寒性(連続) | タンク-20~+150℃
(素材-200~+260℃) |
耐燃焼性 | UL94試験でV-0 |
有機物の溶出 | 全くない |
金属イオン溶出 | 全くない |
耐酸、耐アルカリ、耐溶剤、耐フッ酸、耐クロム酸 | 御使用条件により選定いたしますので、お問い合わせください。 |
N-PTFE複合 タイプ(N-PTFE+FRP) |
接液材質 | ポリテトラフルオロエチレン
四フッ化エチレン (フッ素樹脂) |
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補強材質 | ビニルエステル樹脂FRP |
耐熱性・耐寒性(連続) | タンク-20~+150℃
(素材-200~+260℃) |
耐燃焼性 | UL94試験でV-0 |
有機物の溶出 | 全くない |
金属イオン溶出 | 全くない |
耐酸、耐アルカリ、耐溶剤、耐フッ酸、耐クロム酸 | 御使用条件により選定いたしますので、お問い合わせください。 |
化興ケミカルタンク FRPシリーズは連続使用温度によりV、VHの2タイプを製作しております。
V タイプ(耐蝕FRP) |
接液材質 | ビスフェノール系ビニルエステル樹脂 |
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耐熱性・耐寒性(連続) | -20~+100℃ |
耐燃焼性 | 可燃性 |
有機物の溶出 | 少ない |
金属イオン溶出 | 少ない |
耐酸、耐アルカリ、耐フッ酸、耐クロム酸 | 御使用条件により選定いたしますので、お問い合わせください。 |
VH タイプ(耐蝕FRP) |
接液材質 | ノボラック系ビニルエステル樹脂 |
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耐熱性・耐寒性(連続) | -20~+130℃ |
耐燃焼性 | 可燃性 |
有機物の溶出 | 少ない |
金属イオン溶出 | 少ない |
耐酸、耐アルカリ、耐フッ酸、耐クロム酸 | 御使用条件により選定いたしますので、お問い合わせください。 |
表面処理工場及び排水施設また地下ピットに土壌への浸透を防止するためにPE(ポリエチレン)ライニングをする独自の方法です。
以下に一般的なFRPライニングとPEライニングについての材質の特性比較を示します。
素材 | FRP | PE | 備考 | 評価 |
---|---|---|---|---|
物理的性質 ロックウェル硬度 |
R122 | R40 | PEはFRPに比べて柔らかい | ○ |
物理的性質 引張強度(N/mm2) |
98~196 | 21~23 | ライニングの場合強度は加味しない(躯体強度) | - |
物理的性質 伸び率(%) |
0.5~2.0 | 250~350 | FRPに比べて伸び易い(追従する) | ◎ |
物理的性質 アイゾット衝撃強さ(kJ/m2) |
11~98 | 98 | ○ | |
熱的性質 耐熱温度(℃) |
150~180 | 90 | 薬液処理槽ではないので高温使用はほとんどしない | ○ |
熱的性質 可燃性 |
可燃 | 可燃 | 燃えやすい | ○ |
化学的性質 耐酸性 |
○ | ○ | 一般的な耐酸性 | ○ |
化学的性質 耐アルカリ性 |
△ | ○ | FRPの耐アルカリ性は低い | ○ |
化学的性質 耐溶剤性 |
△ | △ | 溶剤使用は限定的 | △ |
光学的性質 耐候性 |
表面劣化 (ガラス繊維露出) |
表面劣化 (クラック) |
耐候性が必要な場合は対策が必要 | △ |
【注意】
ケース1 施工前
ケース1 施工後
ケース2 施工前
ケース2 施工後